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小シンポジウム「魔女研究の新潮流ーメディア、領域侵犯、グローバル・ヒストリーー」のお知らせ

『西洋史学』第258号56頁に掲載されております通り、来る日本西洋史学会第66回大会にて本研究会メンバーによる小シンポジウムが開催されます。
ぜひご来場ください。

日時:2016年5月22日(日)14:00-17:15
会場:慶應義塾大学三田キャンパス・西校舎2階528

<シンポジウムの概要>
1970年代以降、魔女研究は、主として裁判記録を基に、実証的な多くの詳細な地域研究を生み出し、魔女裁判の実態解明を飛躍的に進めた。今、魔女事件はヨーロッパ近世のキリスト教世界に特有の現象ではなく、現代の非ヨーロッパ地域を含めて、時間的・地域的枠組みを取り払い、他の学問分野の成果を利用しながら、全人類に共通の普遍的な現象として研究され始めている。

本シンポジウムでは、中世から近現代にわたって、ヨーロッパ、南アメリカ、東南アジアといったグローバルな視点から、宗教学と人類学を含めて、学際的に魔女にアプローチする。4本の報告はメディアと表象を基軸として展開する。ヨーロッパでは、悪魔学書と魔女狩りとの関係に注目し、また魔女のイメージが版画や絵画といった視覚メディアで表象され、メディアを通じて拡散され、現実を生み出した諸相を明らかにする。さらに近現代ではロマン主義的な魔女像が社会に対する批判を照射する機能をはたしてきたこと、他方、アンデスの場合には、カトリックへの強制改宗と伝統信仰との緊張関係により双方に悪魔や魔女を創造したことを追求する。これらの報告を通じて提示される魔女のイメージは歴史的かつ社会的に形成され、多様でありまた可変的であるが、さまざまな一元化・共有化の動きとの間で再構成されていくものである。

本シンポジウムを通じて、歴史学を中心とした今後の魔女研究の可能性を考えてみたい。

趣旨説明・司会:楠義彦(東北学院大学) 
報告1:田島篤史(関西大学)
  「中・近世帝国都市ニュルンベルクにおける魔女・メディア・悪魔」
報告2:黒川正剛(太成学院大学)
  「表象としての魔女」
報告3:谷口智子(愛知県立大学)
  「表象と媒介者—アンデスの悪魔・魔術師・魔女」
報告4:牟田和男(ザールラント大学)
  「近現代の魔女言説とフェミニズム」
コメント:小林繁子(新潟大学)、川田牧人(成城大学)

呪術関連論文のお知らせ

本ブログでもご紹介した、2014年のシンポジウム「呪術的実践=知の現代的諸相― 科学/医療/宗教/その他の実践=知との並存状況から」の成果論文が電子ジャーナルで公開されました。

コンタクト・ゾーン』Vol. 007(2015)

本研究会メンバー、黒川正剛氏も執筆陣に加わっています。