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阪神ドイツ文学会研究発表会のお知らせ

下記の要領で、阪神ドイツ文学会第221回研究発表会が行われます。
田島篤史氏による魔女関連の報告もあります。

日時: 2016年7月2日(土)13時30分より(土曜日開催です。)
場所: 関西大学 第1学舎5号館603教室

発表2:田島篤史(関西大学大学院博士後期課程)
題目:H.インスティトーリス『魔女への鉄槌』における「契約」概念
司会:長谷川健一(大阪市立大学)
発表要旨:
中・近世ヨーロッパを象徴する魔女狩りは、ドイツ語圏において最も猖獗を極めた。15世紀中葉以降、悪魔や悪霊、そして魔女は次第に学問的に論じられるようになったが、こうした知識体系は後に悪魔学と呼ばれ、魔女狩りに理論的根拠を提供した。本発表では数ある悪魔学書のうちで最も有名なH.インスティトーリス『魔女への鉄槌』(初版1486年)を取りあげる。本書は聖俗両権力から支持されたのみならず、後代の悪魔学者たちがこぞって引用したことから、ヨーロッパにおける魔女認識の基底をなし、魔女狩りを激化させたと考えられている。
1560年代以降、ドイツでは魔女裁判件数の急激な増加とともに、魔女犯罪は次第に画一化されていく。当時、魔女の罪で重要視されたものの一つに「悪魔・悪霊との契約」があったが、インスティトーリスは『魔女への鉄槌』においてすでにこの「契約」概念を、締結方法・条件・対価などにより区別される複合的な概念として論じていた。本発表では、これまで等閑視されてきた「契約」概念の考察を通じて、魔女と悪魔・悪霊との関係、および人間が魔女になる過程を明らかにすることで、魔女迫害論者による理論的正当性とはいかなるものであったのかを示したい。

くわしくは、阪神ドイツ文学会公式ブログをごらんください。